ディーゼル車に乗っていてパワー不足やエンジンの不調を感じた場合、インジェクターの詰まりが原因かもしれません。詰まりを放置すると、エンジンのパフォーマンスが悪化し、最終的には大きな故障につながることもあります。
エンジンの性能を維持するためにも、インジェクターの小さな異常を見逃さず、早めに対処することが大切です。この記事では、インジェクターの詰まりによって現れる5つの症状と、その原因を詳しく解説します。
また、簡単にインジェクターをケアできるおすすめの商品も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

著者紹介
全米シェアNo.1の自動車用品(添加剤・洗浄剤)を扱うBG Japanの「ケミカル副社長」です。
BG Japanでは、自動車(ガソリン・ディーゼル)に使われている様々な潤滑油や洗浄剤を販売しています。科学に基づいたBG製品を使うことにより、車両をより良い状態で維持できます。
今回の記事ではインジェクターの詰まりで現れる症状について詳しく解説します。
ディーゼル車とガソリン車のエンジンの違いについて
ディーゼル車とガソリン車の違いが分からない方も多いのではないでしょうか?
ディーゼル車とガソリン車には、燃料や燃焼方法などエンジンに関する違いがいくつかあります。ここでは、ディーゼル車とガソリン車のエンジンの違いについて詳しく解説していきます。
燃料の違い

ディーゼル車とガソリン車のエンジンにおける大きな違いの一つは、使用する燃料の種類です。ガソリンエンジンは、レギュラーガソリンやハイオクガソリンを燃料として燃焼し、エンジンを稼働させます。
一方、ディーゼルエンジンは軽油を使用して燃焼を行います。ガソリンスタンドでの給油ノズルの色で見分ける場合、軽油は通常緑色のノズルが使用されています。
また、燃料の燃焼特性にも違いがあり、ガソリンは火を近づけると炎を上げて燃え始めるのに対し、軽油は火ではなく熱を加えることで自然着火しやすい性質を持っています。
燃焼方法の違い
ガソリンエンジンとディーゼルエンジンは、燃焼方法に大きな違いがあります。ガソリンエンジンでは、スパークプラグによる火花点火で燃焼を行います。シリンダー内に吸入された空気とガソリンの混合気に火花を点火させ、その爆発によってエンジンを動かします。
一方、ディーゼルエンジンは自己着火で燃焼が行われます。シリンダー内に吸入された空気を高圧縮することで温度を上げ、そこに軽油を噴射して自然に着火させる仕組みです。
ディーゼルエンジンでは、空気をガソリンエンジンの1.5〜2倍程度まで圧縮するため、高温の空気に燃料を噴射するだけで自然発火が起こり、強力な膨張力を生み出します。
吸入する空気の違い
ガソリンエンジンとディーゼルエンジンでは、吸入する空気に違いがあります。ガソリンエンジンは、燃料と空気があらかじめ混ぜ合わされた混合気をシリンダー内に吸入し、これを燃焼させる仕組みです。
一方、ディーゼルエンジンは空気のみをシリンダー内に吸入し、その後に燃料を直接噴射します。この空気の吸入方法の違いが、燃焼方法にも大きく影響しており、ディーゼルエンジンでは高圧縮された空気に燃料が噴射されることで自然に着火が行われます。
ディーゼルエンジンのメリットとデメリット
ディーゼルエンジンは、トラックやバスなど大型車両で多く採用されるエンジンですが、メリットだけでなくデメリットも存在します。
ディーゼルエンジンは、パワフルなトルクや燃費の良さが評価される一方、環境への影響やメンテナンスコストなどいくつかの注意点もあります。ここでは、ディーゼルエンジンのメリットとデメリットについて詳しく解説します。
ディーゼルエンジンのメリットについて
まず、ディーゼルエンジンはガソリンエンジンに比べてトルクが強い点がメリットです。トルクが強いことからエンジンのパワーが増し、大きな車体を効率的に動かせるため、トラックやバスなどの大型車両にディーゼルエンジンが多く採用されているのです。
さらに、ディーゼルエンジンはガソリンエンジンに比べてCO2の排出量が少なく、地球温暖化防止に貢献できる点も大きなメリットでしょう。この環境への配慮が、近年再びディーゼル車に注目が集まっている理由の一つです。
また、燃料として使用される軽油は、レギュラーガソリンやハイオクガソリンよりも安価なため、燃料費を抑えられるのもディーゼルエンジンのメリットです。
ディーゼルエンジンのデメリットについて
ディーゼル車は、PM(粒子状物質)やNOx(窒素酸化物)といった有害物質を排出しやすいというデメリットがあります。有害物質の排出に対応するため、DPF(ディーゼル微粒子フィルター)などの浄化装置が必須となっています。
また、ディーゼルエンジンは強い燃焼パワーを生み出すため、エンジン内部の部品が頑丈に作られています。さらに、DPFなどの追加装置が多く取り付けられているため、メンテナンスの頻度や費用が増えることもデメリットの一つです。
ディーゼル車におけるインジェクターとは?

車のエンジンは、液体燃料が燃焼する時の力で動きます。インジェクターは、液体燃料を噴射させる役割があり、コンピューター制御によって最適な量の燃料を最適なタイミングで供給しています。
ディーゼル車の燃料は軽油なので、一般車両に搭載されたインジェクターよりも噴射圧力が高いです。噴射圧力が高くなるとエンジン内の温度が上昇するため、定期的なケアを怠ると詰まってしまう恐れがあります。
ディーゼル車に乗っていて加速力が弱くなったり、上り坂で踏ん張りが効かないなどの症状が現れた場合、インジェクターの詰まりが原因かもしれません。
インジェクターには2つの種類がある
インジェクターは、燃料の供給方式によって2種類に分類されます。ガソリンエンジン用のインジェクターはポート噴射式で、燃料をエンジン内に噴射して空気と混ぜ合わせることで動力を生み出します。
一方、ディーゼルエンジンには気筒内直接噴射式のインジェクターが搭載されています。ディーゼルエンジンは軽油を燃料とするため、直噴型のインジェクターが必要です。
ガソリンエンジンと異なり、ディーゼルエンジンは吸入時に空気のみを吸い込み、シリンダー内に直接軽油を噴射する仕組みです。また、ディーゼルエンジン内ではガソリンエンジンよりも強く空気が圧縮され、その結果、燃料噴射時に自然発火が生じやすくなります。
インジェクターの詰まりで現れる症状
インジェクターの詰まりは、エンジンの動作にさまざまな悪影響を及ぼします。インジェクターの詰まりが進行すると、エンジンの始動が悪くなったり、加速が鈍くなるなど様々な症状が現れます。
ここでは、インジェクターの詰まりが原因で現れる症状について解説します。
黒煙や白煙が発生する
黒煙はインジェクターが詰まり、燃料と空気の混合気が不完全燃焼することで発生します。
一方、白煙は、燃料の過剰な供給や排気系にオイルが混入することが原因で発生します。インジェクターはコンピューターによって燃料噴射量が管理されていますが、複数あるインジェクターのうち1つが詰まり始めると、他のインジェクターがその不足分を補うために多くの燃料を噴射するようになります。
燃料が過剰に噴射されると、燃焼しきれなかった燃料が排気系に流れ込み、白煙が発生することになります。
エンジンの振動音が大きくなる
インジェクターが詰まり、燃料が適切に噴射されなくなると、エンジンの振動音が大きくなります。
インジェクターの内部にカーボンが蓄積されてインジェクターの動きが悪くなり、またインジェクターの噴射孔が詰まってしまうと綺麗な霧状の噴射ができなくなるといった不調が現れます。
これらの不調により、燃料の噴射量やタイミングがばらついたり、噴射が乱れることでエンジンの振動音が大きくなるのです。
DPFが故障する
インジェクターに詰まりが発生し、適切な燃料噴射ができなくなると不完全燃焼が起きます。不完全燃焼が起きるとススが大量に発生してしまい、DPFフィルターが詰まる恐れがあります。
また、噴射のタイミングがズレてしまうと、DPFを再生するために行うポスト噴射が消えてしまい、DPF再生が適切に機能しなくなる不具合が起きます。
エンジンがかからない・かかりにくくなる
インジェクターが詰まると、セルモーターは回るもののエンジンがかからない、かかりにくいといった症状が現れます。
エンジンがかからない・かかりにくいと感じたら、インジェクターの詰まりを疑いましょう。
パワー(トルク)が不足する
インジェクターが詰まると、燃料の噴射量や噴射のタイミングがずれ始めます。
それによりパワー不足が発生し、加速時にパワーが発揮されにくくなってしまいます。
インジェクターが詰まる4つの原因
インジェクターは、不純物の混入や燃料系内部の汚れなどが原因で詰まります。
ここでは、インジェクターが詰まる4つの原因について解説していきます。トラックの不調を感じているなら、該当する原因がないか再度確認しましょう。
不純物が混入した
低品質な燃料を使ったり燃料を適切に保管できていないと、燃料に金属片や水分などの不純物が混入しやすくなります。
金属片や水分などの不純物が、燃料と一緒にインジェクターに入ることが詰まりの原因となります。不純物の混入を防ぐためには、定期的に燃料やフィルターの点検を行い、必要に応じて交換しましょう。
燃料系の内部に汚れが蓄積された
燃料系の内部に汚れが蓄積されることが、インジェクターの詰まりを引き起こす大きな原因となります。燃料フィルターの劣化や交換の遅れにより、細かな汚れが燃料系統内に溜まると、インジェクターの微細な噴射孔を詰まらせることがあります。
燃料系の内部に汚れが蓄積されると、エンジンの出力を低下させます。それによって燃料噴射不良を引き起こし、エンジン全体のパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があります。
使っている燃料の質が悪い
ディーゼルエンジンの性能や寿命において使用する燃料の質は非常に重要で、燃料の種類や品質がインジェクターの詰まりに大きく影響を与えます。
特に、バイオディーゼルなどの燃料は、通常のディーゼル燃料に比べて汚れやゴム部品の劣化を引き起こしやすく、インジェクターや燃料系統に悪影響を与える可能性があります。
ディーゼルエンジンの性能や寿命をできるだけ長く維持するためにも、高品質の燃料を使用し、定期的に燃料系統をチェックしましょう。
間違ったメンテナンスを行なっている
ディーゼルエンジンのインジェクターが詰まる原因の一つに、誤ったメンテナンス方法やメンテナンス不足があります。燃料フィルターの定期的な交換や清掃を怠ると、インジェクターに汚れが蓄積し、エンジンの性能が徐々に低下します。
最終的には重大なトラブルにつながる恐れがあるため、故障を未然に防ぐためにも燃料系統のメンテナンスを適切に、かつ定期的に実施しましょう。
インジェクターの寿命について
インジェクターの寿命は車種によって異なりますが、一般的には走行距離約10万kmが目安とされています。インジェクターは精密な機械部品であり、長期間の使用によって摩耗や劣化が生じます。
また、使用環境や燃料の品質によっても寿命が影響を受けるため、寿命がくる前に定期的なメンテナンスや必要に応じた交換が必要です。古くなったインジェクターを放置すると、エンジンのパフォーマンスが大幅に低下し、さらなる故障の原因にもなりかねません。
インジェクターの詰まりを予防する方法は?

インジェクターの詰まりを予防したいなら、インジェクターを洗浄するか、燃料添加剤を使ってメンテナンスする必要があります。
ここでは、インジェクターの詰まりを予防する2つの方法について、それぞれ詳しく解説していきます。
インジェクターを洗浄する
インジェクターの詰まりを予防するためには、定期的なインジェクターの洗浄が効果的です。インジェクターは、取り外して専門の業者や整備工場に依頼して洗浄ができます。洗浄には超音波洗浄が使用され、インジェクター内部の汚れをしっかりと除去します。
ただし、洗浄作業は取り外しから取り付けまで約1週間ほどの期間がかかることがあります。また、コストも約10万円ほどかかるため、洗浄期間と費用の個人的負担が大きいので注意が必要です。
インジェクターを洗浄する場合:約100,000円
燃料添加剤を使う
燃料添加剤を使うと、手軽にインジェクターのメンテナンスができます。燃料添加剤を使用することで、インジェクターに溜まったデポジット(堆積物)を効果的に除去し、インジェクターの動きを正常化できます。
また、エンジン内部に蓄積されたカーボンなども取り除くことができ、エンジン性能の向上が期待できます。
さらに、シリンダー内部とピストンの摩擦が軽減されるため、部品の摩耗を抑えることができ、エンジン全体の寿命を延ばすのに役立ちます。使い方も簡単で、洗浄期間も必要ない点がメリットです。
インジェクターの詰まりを予防・解消するならBGの添加剤(クリーナー)がおすすめ

業者にインジェクター洗浄を依頼すると作業中は車両を使えないため、運転がメイン業務の方は作業効率が低下し、利益に悪影響を及ぼします。もっと手軽に作業効率を落とさずにインジェクターをケアしたいなら、添加剤(インジェクタークリーナー)を使いましょう。
燃料添加剤にも様々な商品がありますが、アメリカの大手ケミカルメーカーであるBGの添加剤がおすすめです。ここでは、インジェクターの詰まりを予防・解消するのに役立つ、BGの添加剤をご紹介します。
ディーゼルケア スタートセット

初めてインジェクターのケアをする方には、「ディーゼルケア スタートセット」をおすすめします。ディーゼルケア スタートセットには、インジェクターフラッシュ専用器具・専用スタンドと2種類の洗浄(BG22932/BG23232)が同梱されています。
ディーゼルケア スタートセットを使うと、インジェクターや噴射ポンプ、燃料ライン、燃焼室、インテークバルブといった、ディーゼルエンジンの燃料系統を徹底的に洗浄できます。
ディーゼルケア スタートセットは、専用器具や洗浄剤を単品で購入するよりお得です。できるだけコストを抑えてインジケーター洗浄がしたい方や、初めてのインジェクター洗浄で何を揃えればいいか分からない方におすすめです。
BGのクリーナーと洗浄器具を使用する:1回あたり約1.2万円〜2万円
クリーナーを燃料タンクに添加する:1回あたり約9000円
紫ラベル「DFCプラスHP」

日本国内でトップクラスの採用実績を誇るディーゼル添加剤です。紫ラベル「DFCプラスHP」は、DPF(ディーゼル微粒子フィルター)やインジェクターの詰まり、頻繁な強制再生(強制燃焼)の問題を解消するために設計された商品です。
トラックメーカーや建機メーカーなど、多くの企業で純正品として指定されています。トラック、バス、建機、重機、発電機、ハイエース、キャラバンなど、あらゆるディーゼル機関に使用可能です。
DFCプラスHPの詳細はこちらインジェクターの詰まりによる症状が見られたら早めに対処しよう

ディーゼルエンジンは、強力なトルクや燃費の良さからトラックなどの大型車両で広く採用されています。しかし、インジェクターに詰まりが生じるとエンジンの性能が低下し、パワー不足や黒煙の発生など様々な症状が現れます。
インジェクターの詰まりによる症状を放置していると、最悪の場合は故障する恐れがあります。症状に気が付いたら、今回紹介したBGの添加剤を活用してできるだけ早く対処しましょう。
BGのインジェクタークリーナーについて詳しく知りたい方はこちら