ディーゼル車を快適に走らせるために欠かせないインジェクターは、燃料噴霧を電子制御して調整し、噴霧量や噴霧のタイミングをコントロールしながら最適な燃料を供給する装置です。
インジェクターが正常に働いていると、燃費が向上しキレイな排ガスを排出できます。しかし、適切なメンテナンスを行わないとインジェクターに詰まりが生じ、さまざまな不具合が出てくるため、インジェクターのケアに関する正しい知識を身につけるべきでしょう。
今回は、インジェクターの詰まりが起こったときの対処法やおすすめの商品について詳しく紹介します。

著者紹介
全米シェアNo.1の自動車用品(添加剤・洗浄剤)を扱うBG Japanの「ケミカル副社長」です。
BG Japanでは、自動車(ガソリン・ディーゼル)に使われている様々な潤滑油や洗浄剤を販売しています。BGの製品は、世界90カ国に輸出されており、10万店以上の自動車ディーラー、整備工場等で使用されています。
今回の記事ではインジェクターの詰まりの掃除方法について解説します。その中でもインジェクタークリーナーがおすすめの理由についても紹介します。
インジェクターの役割

インジェクターはエンジン内にあり、軽油またはガソリンと空気を混ぜた燃料をエンジンに供給する装置です。インジェクターが燃料噴霧を電子制御して調整し、最適なエンジンの状態を解析しながら噴霧量や噴霧のタイミングをコントロールできていると、適切な燃料を供給できます。
インジェクターが正常に働けば霧吹き状で着火し、燃焼温度は500〜600℃まで上がります。500〜600℃まで温度が上昇すればDPF内のススもキレイに燃やせますが、インジェクターに詰まりが生じるとエンジンの燃焼温度が低下し、DPFの働きにも大きな影響を及ぼすので適度なメンテナンスが欠かせません。
インジェクターの種類
インジェクターにはガソリン用とディーゼル車用の2種類があります。
ポート噴射式インジェクター
ポート噴射式インジェクターは、ガソリンエンジン用のインジェクターです。燃料の吸入・圧縮・膨張・排気の4行程の中の最初の吸入時に、エンジンのポート内にガソリンを噴射して空気と混ぜて混合気を作り出す働きをします。
エンジン内でピストンが上がって圧縮された混合気に、点火プラグから火花が飛ばされることで燃焼し車を動かします。
気筒内直接噴射式(直射式)インジェクター
気筒内直接噴射式(直射式)インジェクターは、軽油で走るディーゼルエンジン用のインジェクターです。軽油とガソリンは燃料の燃焼の仕方に違いがあるため、軽油を燃料とする車両の多くに気筒内直接噴射式インジェクターが使われています。
ディーゼルエンジンは、吸入時に混合気ではなく空気のみが吸入され、インジェクターからは直接エンジンのシリンダー内に霧状に軽油が噴射されます。ディーゼルエンジンのエンジン内の空気圧縮はガソリンの1.5~2倍ほどとなり、強く圧縮された空気は高温で、そこに燃料が噴霧されると点火せずともシリンダー内で自然発火が起こります。
気筒内直接噴射式インジェクターは、高圧縮力に耐え、正確に燃料噴射を行えるように作られています。
インジェクターの詰まりが疑われる症状
インジェクターが詰まってくると次のような症状が現れます。
- エンジンから異音がする
- 車体やエンジンの振動が増える
- エンジンがかかりにくくなる
- 加速の低下やトルク不足が起こる
- DPFの再生頻度が高い、または時間がかかる
- 頻繁にDPFの警告ランプが点灯する
インジェクターの詰まりや不具合が発生すると、エンジンへ燃料が適切に供給されなくなります。そのため、上記のようなさまざまな不調のサインが出てくるのです。インジェクターの寿命には、使用年数や走行距離などは関係ありません。
インジェクターは、不具合が起きたら寿命です。ただし、業務で長距離運転を頻繁にしている車両などは、インジェクターの劣化が早まる可能性が高いと考えた方がよいでしょう。
インジェクターが詰まる原因とは
インジェクターの不具合の主な原因とされる詰まりは、下記のさまざまな物質がインジェクターの噴射口に溜まってしまうために起こると考えられます。
炭素:燃料の燃焼によって発生したカーボン
油膜:スラッジの原因となる粘着性のあるワニス
燃えカス:燃料やオイルの燃えカスであるスラッジ
長期間動かしていない車両の場合、インジェクターに詰まった物質が固まってしまい、エンジンを始動させるときにトラブルが発生することもあります。
インジェクターを交換するタイミングと費用
インジェクターを交換する時期は、一般的に新車から10万km走ったとき、または10年が目安とされています。しかし、あくまでも目安で、エンジンのコンディションや使用頻度などによっては、もっと早く交換するタイミングが来る場合もあります。
走行していてインジェクターの不調が感じられる兆候が出た場合は、インジェクターが消耗している可能性があるため、早めに交換した方がよいでしょう。
インジェクターの洗浄・交換費用
インジェクターの洗浄や交換の費用は、車種やインジェクターの種類、整備工場の料金設定などによって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
インジェクターを洗浄する場合:約100,000円
インジェクターを交換する場合(シングルポイント):約23,000円〜28,000円
インジェクターを交換する場合(マルチポイント):約10,000円〜140,000円
インジェクターを交換する場合(筒内噴射式):約190,000円〜320,000円
直噴式インジェクション車は、燃料をシリンダー内部に直接噴射できるよう高圧のインジェクターを使用するため、費用も高くなります。
インジェクターの詰まりは清掃で解消できる

インジェクターは、交換すると高額な費用がかかります。多くのディーゼルエンジンには、インジェクターの噴射量劣化を学習し補正する機能が搭載されているため、エンジンの本来の性能を長く維持できるようになっています。
しかし、これは補正が不可能になるほどインジェクターの劣化が進行してから車両に不具合が現れるという意味でもあります。つまり、不調が現れた時点では、すでにインジェクターが故障していることも多く、その場合は洗浄しても回復はしません。
そのため、詰まりを起こさないよう不調が現れる前から定期的なメンテナンスが必要です。インジェクターをこまめに清掃することでカーボンやワニス、燃えカスなどが目詰まりするのを防げます。
・インジェクターを取り外して洗浄する
・添加剤(インジェクタークリーナー)を使用して洗浄する
・専用器具で徹底洗浄する
取り外して洗浄する方法は工程も多く、一週間程度は車が使用できなくなる可能性が高いため、個人的負担が大きいでしょう。コストも抑えられて、手軽に掃除できる専用のクリーナーや添加剤などを使う方法がおすすめです。
BGの添加剤(インジェクタークリーナー)がおすすめの理由
BGの添加剤(クリーナー)は、噴射ノズル・高圧コモンレール式インジェクター、ユニットインジェクターを問わず使用できます。世界中で使われている製品で、付着したスラッジを柔らかくして、微粒子レベルに分解し燃焼させるため安全です。
また、燃料系統全般をコーティングし、カーボンやスラッジ等の汚れが再び付くのを防ぐ働きもあるため、改善を続けながら長く使用できます。インジェクターが吸入吸気と燃料が混ざらずに不完全燃焼を起こした状態でも、本来の噴射パターンに戻して理想的な燃焼を実現します。
他にも多くの特徴・選ばれる理由がたくさんあります。
高い安全性
BG社の添加剤(クリーナー)は、発火剤を使用していません。そのため、インジェクターやDPFへの副作用がなく、回復後も正常な状態を長く維持できます。
特許の関係でBGの製品と同じレベルの商品は他社では作れないので、この点は大きな強みといえるでしょう。
インジェクター以外の部分もキレイにする
インジェクターだけでなくコモンレールや燃料ライン全体の汚れを溶かして液体化し、燃やして消滅させます。固形物の汚れがエンジンに送られることがないので安全です。
そのため、作業前のエレメント交換も必要ありません。さらに、世界中のどんなディーゼルエンジンにも使えるという点も魅力です。
使い方が簡単
部品を外したり取り換えたりする必要はなく、燃料タンクに入れるだけで直せます。
すでに多くの導入・改善実績があるため、業者にインジェクターの交換や修理が必要といわれた場合でも、BGの製品を使えばインジェクターを最適な状態に保てる可能性が高いでしょう。
不具合の原因がわかる
BGの添加剤(クリーナー)を使用するとほとんどの不調が直ります。また、直らなかった場合のトラブルの原因も明確に分かります。
たとえば、フラッシングから1〜3日経っても補正値の数値に変化がない、または悪化している場合は、フラッシング前からインジェクターがすでに破損や溶解していたと判断ができます。
数値の悪化は、生きているインジェクターが息を吹き返して死んでいるインジェクターの働きをカバーするため、噴射量が増減することで起こるからです。
コスパがいい
BGの添加剤(クリーナー)を使うことで、他のメンテナンス法よりもはるかにコストを抑えられます。
インジェクターを洗浄する場合:約100,000円
インジェクターを交換する場合(シングルポイント):約23,000円〜28,000円
インジェクターを交換する場合(マルチポイント):約98,000円〜140,000円
インジェクターを交換する場合(筒内噴射式):約188,000円〜320,000円
洗浄器具を使用する:1回あたり約1.2万円〜2万円
クリーナーを燃料タンクに添加する:1回あたり約9000円
BGの添加剤(クリーナー)なら入れるだけで洗浄できて、大幅にコストを減らせます。
BG添加剤(インジェクタークリーナー)の使い方
使用する際は、洗浄器具「インジェクターフラッシュ専用器具」をあわせて使うのがおすすめです。
燃料タンクにそのままBGの添加剤(クリーナー)を入れても問題ありませんが、インジェクターフラッシュ専用器具を使用した方が液剤がキレイに循環されて効果を早く感じられます。
また、インジェクターフラッシュ専用器具を使用することで、どのくらい汚れているか目視できるため効果をより体感できます。
紫のラベルの「DFCプラスHP」と青いラベルの「ディーゼルケア」の2種類があります。インジェクターフラッシュ専用器具を使用して清掃する場合は、どちらも使います。
「インジェクターフラッシュ専用器具」を使用した場合

燃料タンクの上部のホースを外すときは、燃料が少しこぼれるのでタオルを当てて作業してください。専用アダプターの戻り側、黒のホースと送り側の赤のホース(送り側)に差し込みましょう。
赤と黒のホースがタンクの送りと戻りのホースに繋がったら、洗浄機(インジェクターフラッシュ専用器具)の蓋を開け、青ラベルの「ディーゼルケア」と紫ラベルの「DFCプラスHP」の液剤を洗浄機に注入して洗浄機に専用のフィルターを装着し、洗浄機の蓋を閉めます。
2液を入れて軽く混ぜ合わせたら洗浄機のバルブを緩めましょう。洗浄機のコックを開けてホース中のエアを軽く抜けば準備完了です。
エンジンを始動させ、アイドリング回転で洗浄を開始します。数分経つと少しずつ汚れが落ち、洗浄液が減っていくのが目で確認できます。エアがかまないよう洗浄液を少し残してエンジンを停め、二段階洗浄のために燃料タンクに再び紫ラベルの「DFCプラスHP」を注入します。最後に10分程度アイドリングして完了です。
ディーゼルケア スタートセットの詳細はこちら「インジェクターフラッシュ専用器具」を使用しない場合

インジェクターフラッシュ専用器具を使用しない場合は、紫ラベルの「DFCプラスHP」のみを使用します。手順はとても簡単で、軽油燃料タンクに入れるだけでOKです。少し多くインジェクタークリーナーを注入しても、エンジンに問題はありません。
また、DFCプラスHPは洗浄力がやさしく、ゆっくり洗浄するタイプなので、安全で燃料タンクの中の軽油残量が少なくても使用できます。しかし、満タン状態の方が洗浄作用が長く続きますので経済的でおすすめです。
注入後のかくはんも不要ですが、もし時間があれば10分程度アイドリングすると直りが少し早くなります。定期的に行う場合は、3〜6か月ごとの期間で添加するとよいでしょう。使用する際に、注入前後の燃料フィルター交換やオイル交換などは特に必要ありません。
DFCプラスHPの詳細はこちら添加剤(クリーナー)の使用量
使用量の目安をご紹介します。
軽油(デミオ、CX5、ハイエース、キャラバン、ボンゴなど):約50Lに対して1/2本
軽油(2t、4t 車など):約200〜400Lに対して1本
軽油(10t、大型車):約200~400Lに対して1〜2本(ダブルタンクの場合)
ボトルの側面に目盛りが付いているので、参考にしてください。DFCプラスHPは、建機、船舶、発電機、コンプレッサーなど軽油を燃料とするすべてのディーゼル・エンジンに使えます。
インジェクターの詰まりは添加剤(クリーナー)で清掃を

インジェクターはエンジンを正常に稼働させ、キレイな排気ガスを排出するために欠かせない装置です。走行中に常に働く部分で、機能上目詰まりしやすいため、定期的なメンテナンスが必要です。
インジェクターの詰まりは添加剤を使うとキレイになります。選ぶ際には、安心して使えて効果が高く、コスパのいいものを選ぶとよいでしょう。
BGのインジェクタークリーナーについて詳しく知りたい方はこちら