ディーゼル車が快適に走るために欠かせないインジェクターは、定期的にメンテナンスを行わないと詰まりが発生し、車両に重大な不具合が発生することもあります。インジェクタークリーナーを使って適切にメンテナンスを行えば、インジェクターのトラブルの原因を解消することができ、快適な状態を長く保てます。
この記事では、ディーゼルの特徴やインジェクターについて、さらにインジェクターのメンテナンス方法やおすすめのクリーナーについてなど、詳しく紹介します。

著者紹介
全米シェアNo.1の自動車用品(添加剤・洗浄剤)を扱うBG Japanの「ケミカル副社長」です。
BG Japanでは、自動車(ガソリン・ディーゼル)に使われている様々な潤滑油や洗浄剤を販売しています。BGの製品は、世界90カ国に輸出されており、10万店以上の自動車ディーラー、整備工場等で使用されています。
今回の記事ではディーゼル車のインジェクターついて詳しく解説します。
インジェクターの役割

インジェクターは、ディーゼル車にとってどのような働きをするのかまずは確認しましょう。
エンジンを最適な状態に保つ
エンジンは液体の燃料を燃焼させて動きますが、このときにインジェクターがコンピューター制御でエンジンの状態を最適に保ち、さらには液体燃料の噴霧量や噴霧のタイミングをコントロールしながら噴射させています。
ディーゼル車のインジェクターは気筒内直接噴射式(直射式)

インジェクターは2つの種類があり、ガソリン車用とディーゼル車用にわかれています。2つの違いは、燃料の噴射の仕方です。
■ガソリンエンジン用
ガソリンエンジン用のインジェクターは、「ポート噴射式インジェクター」といい、燃料の吸入・圧縮・膨張・排気の4行程の中の最初の吸入時に、エンジンポート内にガソリンを噴射し、空気と混ぜて混合気を作ります。エンジン内で圧縮された混合気にピストンが上がって点火プラグから火花が飛ばされることで燃焼して車が動く仕組みです。
■ディーゼルエンジン用
ディーゼル車の場合は、燃料が軽油です。ディーゼルエンジン用のインジェクターは、「気筒内直接噴射式(直射式)」とも呼ばれ、吸入時に混合気ではなく空気のみを吸入し、インジェクターから直接エンジンのシリンダー内に霧状の軽油を噴射します。
ディーゼルエンジン内の空気圧縮はガソリンの約1.5~2倍にもなり、強く圧縮されて高温となった空気は、燃料が噴霧される時点で点火する必要はなく、シリンダー内で自然発火を起こします。そのため、気筒内直接噴射式インジェクターは、高圧縮力に耐えられるようポート噴射式インジェクターよりも頑丈に作られているのです。
軽油を燃料とする車両の多くは、気筒内直接噴射式インジェクターが採用されています。
ディーゼルエンジンの特徴

ディーゼルエンジンには、次のような特徴があります。
- CO2の排出量が少ない
- トルクが強い
- 燃料が安い
ディーゼル車は、ガソリン車に比べてCO2の排出量が少ないため、地球温暖化などの環境問題にも良い影響を与えます。また、ガソリン車に比べてトルクが強く、エンジンのパワーが大きく車両を動かす力が強い点も特徴です。
バスやトラックなどの大型車に、ディーゼルエンジンが多く使われるのもそのためです。さらに、ディーゼル車が燃料として使う軽油は、ハイオクやレギュラーガソリンに比べて安くコストを抑えられます。
一方で、ディーゼルエンジンには、有害物質を排出したりメンテナンスの費用が高くついたりするデメリットもあります。
ディーゼル車は、特有の粒子状物質(PM)や窒素酸化物(NOX)を排出するため、排気ガスをキレイにするためのDPFなどの浄化装置の装備が必要です。また、DPFなどの部品や強い燃焼力・高圧力に耐えられるよう耐久性の高い部品を使用するので、メンテナンスや修理、交換のコストが高くなってしまいます。
ディーゼル車のインジェクターにメンテナンスが必要な理由
ディーゼル車のインジェクターは、定期的なメンテナンスが必要です。高圧で燃料ポンプから送られてくる燃料は、インジェクターの噴射部分の先端、バルブ部分で微粒子化されて噴射されます。正常な状態であれば、霧吹き状態で着火して燃焼温度は500〜600℃まで上がり、この温度まで上昇すればDPF内のススはキレイに燃えます。
ただし、車が走るほどインジェクターにカーボンやワニス、スラッジなどの物質が溜まってしまいます。その物質がインジェクターに詰まってくると、キレイに燃料が噴射されなくなるため、ちゃんと燃えずにエンジン内の燃焼温度が300〜400℃程度しか上がらなくなります。
そうなるとDPF内のススがキレイに燃えきらずに残り、強制再生の回数が増えて燃費が悪くなったり業務に支障をきたしたりするようになるのです。そのため、ディーゼル車は、インジェクターが詰まらないよう定期的なメンテナンスが必須なのです。
インジェクターが詰まったときのサイン

インジェクターが詰まると、ディーゼル車に次のような不調が現れます。
- エンジンがかかりにくくなる
- エンストするようになる
- エンジンから異音がする
- 車体やエンジンの振動が増える
- 加速の低下やトルク不足が起こる
- 頻繁にDPFの警告ランプが点灯する
- DPFの再生頻度が高い、または時間がかかる
これらの症状が現れる前に、定期的にインジェクターのメンテナンスを行うようにしましょう。
ディーゼル車のインジェクターをメンテナンスするタイミング
ディーゼル車のインジェクターをメンテナンスするタイミングは、一般的には2年ごと、または50,000キロごとの洗浄が推奨されます。しかし、過酷な運転条件で使用している車両の場合は、予定よりも早くインジェクターを洗浄した方が燃料の品質低下やエンジントラブルなどの問題を防げるでしょう。
また、インジェクターを交換する時期としては、一般的に新車から10万km走ったとき、または10年が目安とされています。あくまでも目安で、洗浄のタイミングと同様でエンジンのコンディションや使用頻度などによって変わり、もっと早く交換するタイミングが来る場合もあります。
ディーゼル車のインジェクターのメンテナンス法

ディーゼル車のインジェクターをメンテナンスする方法はいくつかあります。
インジェクター自体を洗う
インジェクターを取り外して洗うことで、汚れや詰まりを目で確認して洗浄できます。重点的に詰まっているところの汚れを落とせるので、よりキレイな状態にできる点がメリットです。
ただし、インジェクターを取り外して洗って、元に戻す作業は専門的な知識や経験が必要です。適切な洗浄方法を守る必要があるため、自分で行うよりも専門の整備士などに相談しましょう。
また、インジェクターの洗浄作業には、パーツクリーナーや超音波洗浄機などを揃える必要があります。
インジェクタークリーナー(添加剤)を使う
燃料タンクにクリーナー添加剤を入れて、インジェクターを洗浄します。インジェクターの添加剤の種類はいろいろありますが、車種に合うもので安心して使えるものを選びましょう。効果が実証されている商品なら安心です。
インジェクターを交換する
インジェクターを定期的に交換すれば、不具合を起こさずに快適な走りができます。先ほども紹介しましたが、インジェクター交換の時期は、一般的に新車から約10万km走ったとき、もしくは約10年が目安です。
交換時期に近い車両は、インジェクターを交換すれば不具合が改善し、快適な走りができるようになるでしょう。ただし、長距離などの過酷な運転状況で使用している車両は、交換時期の目安よりも早くインジェクターの寿命が来る可能性があります。
インジェクターのメンテナンスにかかる費用
インジェクターのメンテナンス方法ごとにかかる費用は、以下になります。
■インジェクター洗浄
・業者に頼んでインジェクターを洗浄する場合:約100,000円
■BGのインジェクタークリーナー洗浄
・洗浄器具を使用する場合:1回の洗浄につき約12,000円〜20,000円
・添加剤を燃料タンクに添加する場合:1回の洗浄につき約9,000円
■インジェクターを交換
インジェクターを交換する場合(シングルポイント):約23,000円〜28,000円
インジェクターを交換する場合(マルチポイント):約98,000円〜140,000円
インジェクターを交換する場合(筒内噴射式):約188,000円〜320,000円
※ディーゼル車の場合、インジェクター交換の費用が最も高く188,000円~320,000円ほどかかります。
インジェクターを掃除するならBGのクリーナーがおすすめ

インジェクターを掃除する際は、使用方法も簡易的でコストも抑えられるクリーナーを使う方法がおすすめです。
インジェクターを取り出して洗う方法や交換の場合は、業者に作業を依頼しなければいけません。作業中は車両を使えないため、業務に支障をきたすだけではなく、利益にも影響を及ぼします。クリーナーを使えば、作業効率を落とさずに手軽にインジェクターのメンテナンスが行えます。
インジェクタークリーナーはさまざまな種類がありますが、アメリカの大手ケミカルメーカー、BGのクリーナーがおすすめです。BGのクリーナーなら、コストを抑えられるだけではなく、世界中のどんなディーゼルエンジンにも使えます。また、発火剤を使用していないため、車両やエンジンへの負担がなく、回復後も正常な状態を長く維持できるのも特徴です。
特許の関係で他社ではBGと同じレベルの添加剤は作れないので、より安全に洗浄したいならBGのインジェクタークリーナーでのメンテナンスが良いでしょう。
誰でも簡単にメンテナンスできる
BGのクリーナーは部品を外したり取り換える必要はなく、燃料タンクに入れるだけでメンテナンスができます。
すでにBGの製品を使用し、「クリーナーを入れるだけで改善した」という多くの声や実績があります。BGの製品を使えばインジェクターを最適な状態に保てるでしょう。
燃料系統全般をコーティングできる
BGのクリーナーは、世界中のディーゼルエンジンで安全に使われている添加剤です。付着したスラッジ(燃えカス)を柔らかくして、微粒子レベルに分解して燃焼させるため、燃料系統全般をコーティングして、カーボンやスラッジ等の汚れが再び付くのを防ぎます。何年経っても、改善を続けながら使用できるのは大きなメリットです。
また、噴射ノズル・高圧コモンレール式インジェクター、ユニットインジェクターなどに使用できる点も優れています。燃料ライン全体の汚れを溶かして液体化して、燃やし消滅させるので、固形物の汚れがエンジンに送られる心配がありません。作業前のエレメント交換も不要です。
不具合の原因を解明できる
BGのクリーナーなら、添加するとほとんどのトラブルが直りますが、直らなかった場合の不具合の原因も明確にわかります。
たとえば、フラッシングから1〜3日経っても補正値の数値に変化がない、もしくは悪化してきた場合は、インジェクターの汚れではなくフラッシング前からインジェクターがすでに破損や溶解していたことが解明できます。
数値が悪化する原因は、生きているインジェクターが息を吹き返して活性化し、死んでいるインジェクターの働きをカバーするために噴射量が増減することで起きるからです。
BGのインジェクタークリーナーの使い方
BGのインジェクタークリーナーの使い方はとても簡単です。専用の洗浄器具を使う方法と燃料タンクに直接入れる方法があるので、詳しく見ていきましょう。
専用器具を使ってメンテナンスする方法

BGのインジェクタークリーナの使い方で、おすすめなのは「インジェクターフラッシュ専用器具」を使用する方法です。
このやり方なら、インジェクターの汚れが目で確認できます。また、専用洗浄器具を使用することで液剤がキレイに循環されるのもわかるため、効果を早く感じられます。
具体的な手順は、以下になります。
1. 燃料タンクの上部のホースをタオルを当てながら外す
2. 専用アダプターの黒を戻り側の黒、赤を送り側のホースへ差し込む
3. 赤と黒のホースがタンクの送りと戻りのホースにつながったら、洗浄機(インジェクターフラッシュ専用器具)の蓋を開けて青ラベルの「ディーゼルケア」と紫ラベルの「DFCプラスHP」の液剤を洗浄機に注入する
4. 洗浄機に専用のフィルターを装着して蓋を閉める
5. 2液を入れて軽く混ぜ合わせたら洗浄機のバルブを緩める
6. 洗浄機のコックを開けて軽くホース中のエアを抜く
7. エンジンを始動させアイドリング回転しながら洗浄をスタートする
8. 少しずつ汚れが落ちて洗浄液が減っていくのが見えたら、エアがかまないよう洗浄液を少し残してエンジンを停める
9. 二段階洗浄するため燃料タンクに再び紫ラベルの「DFCプラスHP」を注入する
10. 最後にアイドリングを10分程度して完了
燃料タンクに直接入れる方法

インジェクターフラッシュ専用器具を使用しないやり方の場合は、紫ラベルの「DFCプラスHP」のみを使います。DFCプラスHPを軽油燃料タンクに入れるだけでOKです。製品の安全性が高いため、添加剤の量を少し多めにしても問題ありません。注入前後の燃料フィルター交換やオイル交換などは不要です。
「DFCプラスHP」は洗浄力がやさしく、ゆっくり洗浄していくので安全に使えます。メンテナンスする際は、燃料タンクの中の軽油の残量が少なくても使用できますが、満タンにした方が洗浄作用が長く続くので経済的です。
注入後のかくはんは不要ですが、もし時間的に余裕があれば10分程度アイドリングすると直りが少し早くなるのを実感できるでしょう。また、DFCプラスHPを使って定期的に洗浄する場合は、3〜6か月ごとに添加するのがおすすめです。
DFCプラスHPの詳細はこちらインジェクタークリーナーの使用量の目安
BGのインジェクタークリーナの使用量の目安です。ボトルの側面に目盛がついているので、参考にしてください。
軽油(デミオ、CX5、ハイエース、キャラバン、ボンゴなど):約50Lに対して1/2本
軽油(2t、4t 車など):約200〜400Lに対して1本
軽油(10t、大型車):約200~400Lに対して1〜2本(ダブルタンクの場合)
ディーゼル車のインジェクターはBGのクリーナーでメンテナンスを

ディーゼル車の走りを左右するともいえるインジェクターは、その仕組みや働きから、ススや燃えカスが詰まりやすく、定期的なメンテナンスをする必要があります。インジェクターを洗浄する方法が一般的ですが、もっともコストを抑えて手軽に行えるのがクリーナーを使った洗浄方法です。
クリーナーを使えば、業者に預ける必要もなく、短時間でインジェクターのメンテナンスを行えます。クリーナーはさまざまな種類がありますが、車両を長く快適に使いたいなら、すべてのディーゼル車に使えて安全性が高く、すでに多くの実績があるBGのクリーナーがおすすめです。
BGのインジェクタークリーナーについて詳しく知りたい方はこちら