ご存知の通り、正常な状態であればエンジンオイルに燃料が混ざることはほとんどありませんが、ピストンリングの摩耗やオーバーフロー、フィードポンプのシール不良などが原因で、エンジンオイルに燃料が混ざることがあります。
エンジンオイルに燃料が混ざる原因はいくつかありますが、いずれにしても素人が判断するのは難しいため、プロの整備士が症状を的確に把握し、迅速に対処する必要があります。本記事では、エンジンオイルに燃料が混ざる原因や対処法について詳しく解説します。

著者紹介
全米シェアNo.1の自動車用品(添加剤・洗浄剤)を扱うBG Japanの「ケミカル副社長」です。
BG Japanでは、自動車(ガソリン・ディーゼル)に使われている様々な潤滑油や洗浄剤を販売しています。BGでは、最新・最先端の技術で製品を作っており、科学に基づいた製品を使うことにより、車両をより良い状態で維持できます。
今回の記事では、エンジンオイルに燃料が混ざってしまう原因について解説します。また、燃料が混ざったときの症状や対処法についても紹介します。
エンジンオイルに燃料が混ざる原因

基本的に4サイクルエンジンで、エンジンオイルとガソリンが混ざることはありません。
ただし、エンジン内部ではピストンリングが破損や摩耗によって、少量のガソリンが徐々にオイル側へと混入することがあります。この現象は、整備士の方ならよくご存知だと思います。原因としては、「圧縮漏れ」や「吹き抜け」などが考えられます。
圧縮漏れ
ピストンリングが摩耗することで、吸入工程でシリンダー内に入り込んだガソリンが、圧縮時にクランクケース内へ漏れ出すことがあります。これがエンジン異常の一つとされる理由です。
吹き抜け
吹き抜けは、爆発時の爆発ガスの一部がクランクケース内に漏れ出す現象です。これは完全に防ぐことはできず、未燃焼の有害ガスがエンジンオイルと混ざることがあります。
プランジャーOリングの劣化
インジェクションポンプのプランジャーOリングが経年劣化して硬化すると、燃料が下がり、エンジンオイルに混入するケースがあります。Oリングが劣化するとシール性能も低下するため、エンジンオイルと燃料が混ざる原因にもなります。
このほかにも、バキュームポンプのシール不良によるオイル混入や、まれではありますが、直噴ディーゼルエンジンでのインジェクションノズルのリークによる混入といった事例をみた方もいるかもしれません。
エンジンオイルにガソリンが混ざっていると、オイルチェック時に強いガソリン臭がすることがあります。オイル交換の際に、オイルの臭いも確認するという方も多いのではないでしょうか。
エンジンオイルに燃料が混ざったときってどんな症状が出るの?

エンジンオイルに燃料が混ざったときには、次のような症状が出ます。
- オイルレベルの上昇
- 粘度の低下
- 色の変化
- ガソリン臭
- 異音
- エンジンの焼き付き
エンジンオイルに燃料が混ざることで、オイルレベルが上昇します。また、オイルの純度が減るため、粘度が低下してエンジンオイル本来の役割が果たせなくなります。わかりやすい判断材料として、エンジンオイルが緑色になったりガソリン臭が強くなったりする点もあげられるでしょう。
エンジンオイルの潤滑機能の低下により、エンジンが異音を出すこともあります。最悪の場合は、潤滑機能が完全に失われることでエンジンが焼き付く危険性もあります。
燃料タンク内にエンジンオイルが混ざるケースも紹介

燃料にエンジンオイルが混ざった状態の車を対応した経験を持つ整備士の方は多くいるでしょう。こちらもおさらいとして、どんなケースがあるのか見ていきましょう。
オイル上がり
エンジンオイルが燃焼室に侵入して燃料と混ざる症状は、大きく分けてオイル上がりとオイル下がりの2つです。オイル上がりは、ピストンリングの摩耗や劣化によって、ピストンとシリンダーの間の隙間からオイルが燃焼室に上がってくることです。
オイル上がりの主な原因は、ピストンリングまたはシリンダーの摩耗です。ピストンリングが摩耗すると、シリンダー壁との隙間が大きくなります。そのため、オイルが燃焼室に侵入しやすくなるのです。また、シリンダー壁に傷や凹凸がつくことで、オイルがそこに溜まって、燃焼室に侵入するケースもあります。
オイル下がり
オイル下がりは、吸排気バルブのシール劣化などによって、バルブからオイルが燃焼室に落ちることです。オイル下がりの原因は、バルブシールやバルブガイドの劣化や摩耗です。
バルブシールが劣化すると、バルブとステムの間の隙間が広がるため、オイルが燃焼室に落ちやすくなります。また、バルブガイドの摩耗もバルブとガイドの間の隙間が広がるので、オイルが落ちやすい状況を作ります。
燃料タンク内にエンジンオイルが混ざってしまう原因も紹介

燃料タンク内にエンジンオイルが混ざる原因は、次のようなものがあります。
フィードポンプのシール不良
フィードポンプのシールが劣化すると、燃料がオイル系統に流入する可能性があります。
フィードポンプのシールが劣化する原因は、適切な潤滑油が供給されないためにシール面同士の摩擦が大きくなる潤滑不良、シール材料が熱膨張や硬化を起こしやすい高温下での使用、腐食性のある液体を扱ったことによる腐食、シールが正しく取り付けられていないなどが考えられるでしょう。また、経年劣化によってもシールの性能は落ちます。
ピストンリングの摩耗
ピストンリングが摩耗すると、余分なエンジンオイルが回収されず燃焼室に流入します。ピストンリングの摩耗は、エンジンの過酷な使用や不適切なエンジンオイルの使用などが原因です。また、エンジンオイルの交換期間が長く劣化することでも起こります。
さらに、シリンダーやピストンリングが異常に摩耗すると、エンジンオイルの消費量が増加し、オイル上がりの原因になる場合もあります。
燃料がシリンダ壁面に付着
直噴ガソリンエンジンなどの場合は、燃料がシリンダ壁面に付着してシリンダ壁面とピストンリングの間をすり抜け、クランクケース内に落ちてオイルと燃料が混ざることがあります。
通常は、エンジンの暖機運転を行うことでオイルに混入した燃料が蒸発して、燃焼室内に再循環して燃焼されるため、暖機運転で混入量を減らすことが可能です。しかし、寒冷地などでは特に、暖機運転の状態になる前にエンジンを止めてしまう動作を繰り返すと、燃料が蓄積されてしまうため注意が必要です。
燃料タンク内にエンジンオイルが混ざっているときに起こる症状も紹介

エンジンオイルと燃料が混ざっているかどうかは、白煙の出方で判断する方が多いのではないでしょうか。
オイル上がりの場合、燃焼室でエンジンオイルと混合気が一緒に燃えるため、走行中にマフラーから白い煙が出てくるようになります。特に、車を加速するときに白煙が出る場合は、オイル上がりの可能性が高いですよね。
オイル下がりの場合は、エンジンを始動するときに白い煙が出てくるため、白煙が出るタイミングでオイル上がりかオイル下がりかを見極められます。また、機械油が焼けて煙が出るので、独特の臭いで判断することもあります。
また、オイル下がりの場合は、どの部分で白煙が出ているかを見極めないと、対応ができません。吸気バルブ側のオイル下がりでは、エンジンオイルは継続的に漏れ続けるため、白煙もずっと出ている状態です。
排気バルブ側のオイル下がりでは、エンジンを始動させるときだけ白煙が出ます。エンジンオイルに燃料が混ざると、オイルの粘度が低下して油膜が破壊されるため、各部摺動部の損傷や焼きつきなどのトラブルが起こることもあり早めに的確な処置が必要です。
エンジンオイルに燃料が混ざったときの対処法

最初に解説したエンジンオイルに燃料が混ざったときの対処法を紹介します。対処法は、エンジンオイルの劣化状態の把握がまずは第一です。その方法として、燃料希釈率があります。燃料希釈率は、ご存知の通り、オイル交換の一つの指標です。
エンジンオイルにガソリンや軽油などの燃料が混入すると粘度が低下します。そのため、エンジンオイルの本来の役割である、潤滑性能が得られなくなるので、整備や点検の際はエンジンオイルの品質を正確に把握することが大切です。
燃料希釈率を測定することで、エンジンオイルの劣化状態を判断できます。燃料希釈率の測定は、アメリカのASTM規格にASTM D3524、ASTM D3525、ASTM D7593などの試験方法があります。また、軽油希釈率の試験は、ASTM D3524、JPI-5S-23で定められています。(1)
オイル交換時にはエンジンオイル添加剤の使用がおすすめ

先ほどご紹介したようにエンジンオイルに燃料が混ざった際の対処法は、燃料希釈率を測定してエンジンオイルの劣化状態を判断することです。燃料希釈率はオイル交換の一つの指標となるため、もしオイル交換が必要という判断になった場合には、エンジンオイル添加剤の活用がおすすめです。
また、燃料タンク内にエンジンオイルが混ざった場合もオイル上がりやオイル下がりが起こるケースがあるため、その際にも適切なエンジンオイル添加剤を活用する方法が選ばれています。
エンジンオイル添加剤は、さまざまなエンジンやオイルのトラブルに対処できます。オイルに添加するだけと簡単なので、作業を効率的に進められる点も魅力です。
ただし、一般的なエンジンオイル添加剤は、エンジン内部の洗浄や燃費向上、オイル漏れ防止などそれぞれの症状に特化して作られています。まずは、適切なエンジンオイル添加剤を選ぶために正確にトラブルの原因を把握する必要があります。
エンジンオイルに燃料が混ざっている場合、エンジンオイルの色や臭い、粘度などで調べられます。しかし、的確に原因を突き止められなかったり、目的の違う添加剤を使ったりした場合は、効果がないばかりか再度詳しい点検を行わなければいけません。
エンジンオイル添加剤は、オーバーホールのような詳しい点検の必要なく、症状を改善できる便利なものですが、実は使用する添加剤を選ぶための原因究明が最重要課題ともいえるのです。
BG社のRF-7なら手軽で効果抜群

エンジンオイルのトラブルを添加剤で対処するなら、BG社のエンジンオイル添加剤RF-7がおすすめです。最大の特徴は、1つで7つの効能がある点です。
一般的なエンジンオイル添加剤のように、オイル漏れや圧力低下、異音、白煙、燃費低下など、それぞれの不調に合わせて別々のエンジンオイル添加剤を使う必要がありません。
RF-7には、1本で以下のような効果があります。
- オイル上がり
- オイル下がり
- オイル漏れ
- 異音解消
- 白煙止め
- 酸化腐食保護
- 油圧回復
そのほかにも、RF-7にはほかの添加剤にはない多くの特徴があります。
特許を取得
BG社のRF-7は、特許を取得した製品です。そのため、他社のエンジンオイル添加剤よりも、成分の濃度が濃くて効き目がいいのです。
他社のエンジンオイル添加剤は、車両への副作用を考えて成分の濃度をあえて濃くならないように作っています。RF-7との違いは歴然で、使用したことがある整備士からも「効き目が濃くて、効果も高い」と評判です。
特許の関係で他社では同じものを作れない点は、RF-7の大きな強みといえるでしょう。
症状の切り分けが簡単
BG社のRF-7はいろいろな不具合に対処できるだけではなく、直る症状か重症かの見極めが可能です。オイルが減った分RF-7を足して、もし再度チェックランプが付いたら重症という切り分けができます。
ガソリン・ディーゼルどちらにも使える
RF-7はガソリンエンジン、ディーゼルエンジンどちらにも使用できます。1本あれば、整備工場に持ち込まれる多くの車種の車に対応できるため、業務の効率化を図れるでしょう。
RF-7の成分
RF-7には、エンジン内の問題を修正するような成分が配合されています。たとえば、リングランドの密閉性が悪い、またはシリンダー壁部分が摩耗している古いエンジンの場合、RF-7を使えば高温状態でエンジンオイルの粘度特性を高めるためオイルが薄まってリングから漏れ出るのを防ぐことが可能です。
また、RF-7を使用するとクッションを形成するため、オイルの損失を減らして圧縮を増大または維持してシリンダー壁の摩耗を防止します。さらに、RF-7 にはシールを柔らかくしなやかに保つシールコンディショナーも含まれており、それによって高温状態でオイルが薄まらないよう機能を改善できます。
RF-7の使い方

RF-7の使い方は、とても簡単です。エンジンオイル系のチェックランプ対応は、これ1本で対応できます。エンジンオイル5Lに対してRF-7を1本(325mL)の割合で、車両にそのまま添加しましょう。新しいエンジンオイルと交換する際にRF-7を添加すると、さらに効果があります。
軽自動車なら、半分位の量でも十分効果を感じられるでしょう。RF-7を入れた後は、10~20分ほど自走してください。早く混ざり効果もより早く出ます。
RF-7は粘性があるため、冬季や気温が低いエリアでは製品が固くなったり、成分が分離したりすることがありますが品質に問題はありません。固まっている場合は、オイルジョッキでよく混ぜてからエンジンオイルに添加しましょう。
エンジンオイルに燃料が混ざるのを防ぐには添加剤が便利

エンジンオイルに燃料が混ざると、色が緑色になったりガソリン臭がしたり、粘度の低下が見られたりします。そのまま放置すると、エンジンの焼き付きなど深刻なトラブルを引き起こすため危険です。
エンジンオイルに燃料が混ざった場合は、燃料希釈率を測定してエンジンオイルの劣化状態を判断し、迅速に対処しましょう。
エンジンオイルを交換する際は、エンジンオイル添加剤を一緒に入れるのがおすすめです。RF-7なら、1本で7つの効能があるため、正確な原因を突き止められなくても不具合を解消できます。
ガソリン・ディーゼルどちらにも使えるので、1本あれば多くの車種に対応できます。エンジンオイルのトラブルに、ぜひ使ってみてください。