エンジンオイルは、自動車の血液のようなものといわれることもある重要なものです。車を安全に動かすだけでなく、車の性能を維持するためにも、エンジンオイルの質や量は点検や修理の際に確認することが大切です。
エンジンオイルは、エンジン内部での部品の摩擦を防いで円滑に動作するための潤滑作用があるうえ、燃焼や部品を動かすことで徐々に付着していく各パーツの汚れを吸着し、洗浄する役割も持っています。
そのため、走行距離が長くなるとエンジンオイルには、不完全燃焼した燃料の燃えカスや摩擦によって起こる部品の金属粉やゴミなどが溜まっていきます。これらの不純物を取り除いてろ過するオイルフィルターも定期的な交換が必要とされています。
本記事では、エンジンオイルエレメントとも呼ばれるエンジンオイルフィルターの交換時期や費用について詳しく解説します。また、エンジンオイルフィルターを交換する際に、よりコンディションを良い状態に保つためのおすすめの商品も紹介します。

著者紹介
全米シェアNo.1の自動車用品(添加剤・洗浄剤)を扱うBG Japanの「ケミカル副社長」です。
BG Japanでは、自動車(ガソリン・ディーゼル)に使われている様々な潤滑油や洗浄剤を販売しています。BGでは、最新・最先端の技術で製品を作っており、科学に基づいた製品を使うことにより、車両をより良い状態で維持できます。
今回の記事では、エンジンオイルフィルターの交換の必要性や費用、交換方法について解説します。また、エンジンフィルター交換時に行うと、より良いコンディションに保つことが可能なおすすめ商品も紹介しますので、参考にされてください。
意外と知られていない?エンジンオイルフィルターの重要性

エンジンオイルの重要性は、プロの整備士以外のユーザーにもよく知られていますが、エンジンオイルフィルターの重要性はあまり知られていません。また、「エンジンオイルフィルターは、いつ交換すればいい?」「エンジンオイルフィルターもオイルと一緒に交換すべき?」と、フィルターの交換時期についても明確に判断がつかない方も多いでしょう。
ユーザーによっては、エンジンオイルフィルターが消耗品であることを知らずに、コストを抑えるためにオイル交換だけを行っている方も多いでしょう。豊富な知識を持つ整備士の方から適切なタイミングでエンジンオイルフィルターの交換時期を案内することも重要です。
エンジンオイルフィルターを交換する理由
整備士の方ならご存知の通り、オイル交換だけでは車のメンテナンスは不十分です。オイルフィルターの交換をせずに、そのまま長期間使用し続けるとエンジン内部の汚れがフィルターに溜まり続けるため、目詰まりを起こしてろ過機能が低下します。
オイルフィルターではオイルの汚れを取り除けなくなるため、汚れたオイルがエンジン内部を循環するようになり、エンジンの劣化や故障、燃費の低下などにつながります。
エンジンオイルフィルターの交換時期
エンジンオイルフィルターの交換時期は、一般的にエンジンオイルを2回交換するにつき1回が目安とされています。しかし、車の状態や走行距離などによってもフィルターの交換時期は異なるため、エンジンオイルの交換ごとにオイルフィルターを交換するという方もいるでしょう。
エンジンオイルが汚れて劣化してくるとともにオイルフィルターの性能も徐々に低下していきます。エンジンオイルはオイルレベルゲージで汚れをチェックできますが、オイルフィルターは目視では確認ができません。
そのうえ、オイルフィルターの交換は、車体からエンジンオイルを抜き取った状態で行うため、ある程度ユーザーからのヒアリングを目安にフィルターを交換するかどうか判断する方も多いのではないでしょうか。エンジンオイルフィルターを交換するタイミングは、次のようなポイントを確認するとよいでしょう。
走行距離
前回のフィルター交換から走行距離が10,000kmを超えていれば、オイルフィルター交換のひとつの目安と考えましょう。また、走行距離が年間20,000km以上を超える車の場合は、オイル交換ごとにフィルターの交換もした方がいいかもしれません。
ただし、それぞれの車のエンジンの特徴や使い方、使用しているエンジンオイルの種類、性能などによっても交換目安の距離は変わるため、その辺りもしっかりヒアリングして判断しましょう。
経過時間
エンジンオイルは、普段あまり走行していない車でも、経年によって劣化します。汚れやごみが含まれるようになるのはもちろん、オイル粘度も変化していきます。
普段あまり乗っていない車の場合、メンテナンスも適度に行っていない可能性があり、オイルフィルターが汚れた状態でフィルターの処理能力が十分ではないことがあるのです。そのため、乗っていない車でも1年に1回はオイルフィルターを交換するべきでしょう。
エンジンオイルの種類を変えた際
先ほどもお伝えした通り、定期的に点検や整備を行っている車であれば、エンジンオイルの交換2回につき1回のオイルフィルター交換を行うとよいでしょう。ただし、ターボ車やスポーツカーは、ターボチャージャーという過給器を搭載しているため、通常の車の半分の走行距離や期間でオイルフィルターを交換しましょう。
また、エンジンオイルの種類を変えた場合も、オイルフィルターの交換が必要です。以前に使用していた別のエンジンオイルと混ざってしまい、品質が変化してしまうためオイルフィルターも一緒に交換しましょう。
シビアコンディションの走行が多いか
シビアコンディションの条件下で乗っている車は、一般的な交換時期よりも頻度を高くしてエンジンオイルフィルターを交換する必要があります。次のようなケースが該当します。
- 時速30km以下での走行やアイドリング状態が多い
- 山道などの登り下りの走行が多い
- でこぼこ道や雪道、舗装していない道など悪路走行が多い
このように、エンジンオイルフィルターの交換時期は、一般的な走行距離や経年の期間だけでは判断できない側面があるため、プロの整備士の方が車の使用環境を把握し、適切な交換時期の見極めを行うことが大切です。
エンジンオイルフィルターの交換費用

エンジンオイルフィルターを交換する費用の目安を見ていきましょう。適合する車種やフィルターの性能によって料金は異なります。また、ろ紙だけを交換するタイプとカートリッジごと交換するタイプによっても価格は変わります。
車種によるフィルター交換の相場を比較してみましょう。
ユーザーの中には、コストを抑えるためにエンジンオイルフィルターの交換をDIYで行う方もいるかもしれません。しかし、専用の工具を揃えたり、車の下に潜り込んで作業しなければいけないなど、慣れていない方には難しい作業です。整備士の方から適切なタイミングでフィルターの交換を提案しましょう。
エンジンオイルフィルターを交換しないリスク

ご存知の通り、エンジンオイルフィルターを交換せずに使い続けていると、フィルターが目詰まりを起こします。エンジンオイルのろ過ができなくなるため、エンジンの潤滑ができず冷却機能が落ちてエンジン自体に大きな負荷がかかり不調が起こり始めます。
油膜切れが起こると、エンジンの金属パーツが直接触れ合って摩擦が生じるため、エンジンが焼き付いてしまうこともあります。
メンテナンスのコストを抑えるために、エンジンオイルフィルターの交換頻度を下げているユーザーもいますが、焼き付きが起こった場合は、高額な料金がかかるオーバーホールをしなければいけなくなることがあるため、リスクを考慮し、適度なタイミングでエンジンオイルフィルターを交換することが大切です。
エンジンオイルフィルターの交換方法

エンジンオイルフィルターの交換方法を、改めておさらいしましょう。
エンジンオイルを抜く
エンジンオイルの粘度を緩めて、抜き取りをスムーズにするためにもエンジンを5分ほど温めます。暖機する際は、火傷に注意しましょう。オイルレベルゲージを抜いて、オイルチェンジャーのノズルを挿入し、上抜きまたは下抜きでオイルの抜き取りを行います。
上抜き
- オイルチェンジャーのノズルをオイルレベルゲージの差し込み穴に入れて、古いエンジンオイルを吸い上げる
- ノズルを抜きレベルゲージを差し込む
下抜き
- 暖機が終わったらエンジンを止めて車体をジャッキアップする
- 廃油処理の箱を用意する
- 古いエンジンオイルを抜く
- ドレンワッシャーを交換する
- オイルパンとドレンボルトに付いたオイルを、パーツクリーナーとペーパータオルで拭き取る
- 新しいエンジンオイルフィルターを取り付ける
取付部分に古いオイルフィルターのOリングの残骸や汚れなどが残っていないか確認しましょう。汚れがあるようなら、拭き取ってから新しいオイルフィルターの取り付け面にあるOリングに、少量のエンジンオイルを付けます。
これは、取り付けする際のよれや損傷によってエンジンオイルが漏れるのを防ぐためです。最初は手でゆっくりと回して、接着面がエンジンに当たったらトルクレンチなどの工具を使ってしっかり取り付けましょう。
新しいエンジンオイルを入れる
オイルフィルターの取り付けが済んだら、新しいエンジンオイルを補充します。オイルジョッキを使って全容量の半分程度を最初に注ぎ、オイルレベルゲージで量をチェックします。
FとLの目盛り内に収まっているかを確認して量を調整しましょう。オイルフィルターと同時にオイルを交換する場合は、新しいオイルフィルターの中にエンジンオイルが浸透するため、エンジンを止めてからオイルの量が適量かを確認します。
もしフィルター交換と一緒にオイル交換するならフラッシング剤の使用がおすすめ

エンジンオイルを交換する際は、オイル交換前にフラッシング剤を使用するとよいでしょう。オイル交換前に添加することで、エンジンオイルに溜まった汚れを除去できます。
エンジン内部に目に見えない汚れが付いたまま走行を続けると、徐々に正常な燃料の燃焼ができなくなり、黒煙、白煙、エンジンの振れ、パワー不足、エンジン始動不良などの不具合が起こります。
特に、最新のエンジンの場合は、少量の汚れでもDPFやDPRなどに悪影響を与えるうえ、放置するとDPFでの詰まりが出て、交換に40万円以上の費用がかかることもあるため、日頃のメンテナンスがとても重要です。
エンジンオイルやオイルフィルターの交換時に、フラッシング剤を使ってエンジンオイルをクリーンな状態にすれば、長く快適な状態を保てます。
BGのエンジンフラッシング剤「EPR」の特徴

オイル交換前に使用するなら、BG社のEPRがおすすめです。EPRは、オイルに溜まった汚れを取り除くフラッシング剤で、1本で次のような効果が得られます。
- オイル消費量の削減
- 頑固な汚れの除去
- 圧縮力の回復
- オイル希釈の抑制
- 油圧機能の維持
- 燃費とパワーの回復
EPRは、エンジン内の汚れを取り除いて、燃焼効率を最大限に引き出してくれるエンジンフラッシング剤です。ピストンリングを詰まらせる燃料ガムを軟化・乳化・溶解させ、燃焼室の密閉性を高めて圧縮を改善します。
また、エンジンの性能を最適化させ、カーボン堆積物を除去してリング機能を回復する効果もあります。さらに、ブローバイガスによるオイルの希釈を減らして、微細な通路も洗浄し、バルブトレインやターボチャージャーの機能を保つ働きもあるので1本でエンジンを快適な状態に保てるでしょう。
EPRは、排気ガスの排出量を減らせるため、環境にも優しいエンジンフラッシング剤として人気です。シールやその他のエンジン部品には無害なので、安全に使えます。ガソリン車・ディーゼル車どちらにも対応しており、HEV、GPF、DPF搭載車にも使えるので、これ1本あればさまざまな車種のエンジンのメンテナンスに使えるでしょう。
EPRの使い方

EPRはエンジンオイル交換前に使用しましょう。コンプレッションが低下している車両を復活させます。具体的な使い方は、とても簡単です。
- エンジンオイルの交換前に、エンジンオイル12~15Lに対してEPR1本(946mL)を添加しましょう。
- その後、30分~40分間アイドリングしてください。
- アイドリング後にエンジンオイルとオイルフィルターを交換しましょう。
コンプレッションゲージで、ビフォーアフターがすぐに確認できるため、EPRの効果をすぐに実感できるでしょう。EPRはすすぎ不要のフラッシング剤です。添加するだけなので、作業の効率化を図りたい方にもおすすめです。
また、EPRはBG燃料クリーナーと併用することで効果がさらに上がります。両方使ってメンテナンスを行ってもよいでしょう。
エンジンオイルフィルター交換は2回に1回を目安に

エンジンオイルは、車を快適に走らせるために適度なタイミングで交換が必要な消耗品です。しかし、エンジンオイルフィルターも汚れが溜まると目詰まりを起こすため、オイル同様に交換して使う必要がある部品です。
一般的には、エンジンオイルを2回交換するにつきエンジンオイルフィルター交換1回が目安とされていますが、車のコンディションによっては、より短い期間でエンジンオイルフィルターの交換も必要です。整備士の方が、車の状態を見極めて適切にアドバイスを行ってあげましょう。
フィルター交換と同じタイミングでオイル交換をする場合には、エンジンフラッシング剤を活用するとよいでしょう。エンジン内部の汚れを取り去り燃焼効率を上げてくれます。作業効率を上げ、メンテナンスの費用を抑える効果もあるため、ぜひ使ってみてください。