エンジンオイル「DH-2」とは?特徴や選び方、注意点について解説

エンジンオイル「DH-2」とは?特徴や選び方、注意点について解説

整備士の方ならご存知の通り、DH-2エンジンオイルは、最新の排出ガス規制に対応したディーゼルエンジン専用のオイル規格です。エンジンの性能や寿命のみならず、DPFなどの排出ガス処理装置の保護にも深く関わるため、正しい規格のオイル選びが大切です。また、クリーンディーゼルエンジンを維持するうえで欠かせない規格として注目を集めています。

DH-2オイルを選ぶ際には、エンジンを傷めないための保護性能に加え、排出ガス規制への適合性も重要です。燃費向上やオイル交換距離の延長が期待される一方で、使用条件によっては効果や耐久性に差が生じる場合があります。そこで、車両メーカーの推奨する規格をしっかり確認しながら最適なオイルを選ぶことが重要になります。

本記事では、DH-2エンジンオイルの必要性や特徴をはじめ、選び方のポイント、具体的な交換時期、コスト面まで詳しく解説します。

ディーゼルエンジン用オイルが必要な理由

おさらいとして紹介しますが、ディーゼルエンジンには特有の燃焼方式があり、それに合ったオイルが必要です。

ディーゼルエンジンはガソリンエンジンよりも燃焼温度が高く、燃料中に含まれる硫黄分やススなどの不純物が多く発生しがちです。このため、エンジン内部で発生する汚れや酸性物質を緩和する成分を持ったオイルでなければ、エンジンの劣化を早めてしまう恐れがあります。整備士が適切なオイルを選びそれを使うことで、車両のエンジンパフォーマンスを保持し、車両寿命を延ばすことができます。

近年は排出ガス規制が強化され、DPFやEGRといった排出ガス処理装置が標準搭載されるようになりました。こうした装置を正常に機能させるには、余分な金属灰やスラッジの発生をできるだけ抑える配合が求められます。DH-2エンジンオイルは、こうした要求を満たすことを目的として開発されているため、クリーンディーゼルエンジンを維持するうえで必要不可欠な存在といえるのです。

クリーンディーゼルエンジンとは?

クリーンディーゼルエンジンは、DPFや酸化触媒などの排出ガス処理装置を搭載し、PMやNOxなどの有害物質を低減する仕組みを持つディーゼルエンジンのことを指します。

排出ガス規制が年々厳しくなるなか、こうした装置を装備して環境性能を高めた車両が増加しています。エンジンオイルも専用の規格を使用しないと燃焼効率や処理装置の寿命が低下する恐れがあるため、クリーンディーゼル対応オイルの選択は非常に重要です。

ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの違いをおさらい

おさらいとしてご紹介しますが、ディーゼルエンジンとガソリンエンジンでは燃焼方式や燃料が異なるため、必要なオイルも異なります。

ディーゼルエンジンは圧縮着火方式を採用しており、空気を高圧縮したうえで燃料を噴射し自然着火を行うのが特徴です。ガソリンエンジンと比べると燃焼圧力が高いため、エンジンオイルにはより強い潤滑性能や酸化安定性が求められます。

また、燃料中の不純物によって生成されるススや金属灰にも対処する必要があるため、ディーゼル専用規格が整備されてきました。こうした点が、ガソリンエンジン用オイルとの大きな違いといえます。

JASOのDL-1規格・DH-2規格とは?

日本のオイル規格であるJASOにはディーゼルエンジン用にDL-1やDH-2などの種類があります。JASOは日本自動車技術会によって定められたオイル規格で、ディーゼルエンジン用の代表的なものとして「DL-1」と「DH-2」が挙げられます。

DL-1は主にDPFなどを搭載した小排気量ディーゼル車向けの規格で、主眼は排出ガス処理装置の保護と燃費性能の両立です。

一方のDH-2は、より高負荷・長時間稼働が想定されるトラックや商用車を含む大型ディーゼル車両にも対応できる設計が特徴です。

DH-2規格の背景:排出ガス規制とエンジン保護

排出ガス規制が厳しくなる中でエンジンを保護する性能が求められた結果、生まれた規格が「DH-2」です。

ディーゼルエンジンは燃費が良く、大きなトルクを得やすい一方で、PMやNOxなどの排出ガスが多くなるという課題があります。規制強化の流れを受けて、DPFやEGR、尿素SCRなどの排出ガス処理技術が多くの車両に導入されました。

しかし、こうした装置が正常に働くためには、エンジンオイルが最適な粘度と添加剤バランスを維持していることが欠かせません。DH-2規格はそうしたニーズに応えるために設定され、優れたエンジン保護性能や排出ガス処理装置への影響低減を目指しています。

DPF対応の必要性とDH-2オイルの役割

DPFはディーゼル特有の粒子状物質を捕集・燃焼させ、排出ガスをクリーンに保つ装置ですが、オイル中の金属灰分が過剰に蓄積するとDPFの目詰まりを早め、燃焼効率を下げる原因となります。

DH-2エンジンオイルは金属灰分を抑制しつつ、十分な潤滑性と汚れ分散性能を確保するための添加剤バランスを実現しているので、DPFを正常に機能させるうえで大きな役割を果たしています。

粘度による違い:10W-30と15W-40の選び方

粘度はエンジン性能や燃費に直結するため、使用環境に合わせて選ぶことが重要です。エンジンオイルの粘度は、気温や運転条件によって適切なものを選ぶとエンジン保護効果と燃費性能の両立が期待できます。

「10W-30」は流動性が高く、低温時の始動性や燃費を重視するユーザーに好まれますが、酷暑下や荷物が多い状況下など、高負荷環境における耐久性ではやや弱い場合があります。

一方で「15W-40」は高温環境下や重負荷走行で安定した保護性能を発揮しやすい反面、寒冷地などでは流動性が劣ることがあるため、地域や使い方と照らし合わせて選ぶことが大切です。

燃費性能と高温保護のバランスを考慮するポイント

燃費向上を目指すなら、潤滑抵抗が小さくなる低粘度オイルが有利とされています。

ただし、高温時に粘度が下がりすぎるとエンジン内部の摩耗を増やすリスクもあるため、車両や運転条件次第では「15W-40」など少し粘度の高いオイルが向く場合があります。

各車両メーカーの指定や使用環境を踏まえ、粘度と保護性能の両面を検討することがポイントです。

DH-2エンジンオイルのメリットと注意点

DH-2は排出ガス規制に対応すると同時に、エンジン保護性能も強化されていますが、注意点もあります。

DH-2のメリットとしては、DPFやEGRなどの排出ガス処理装置を汚れから守り、エンジン内部を清潔に保ちやすい点が挙げられます。特に、高負荷環境や長時間運転が多い商用車などでは、オイルが劣化しにくいため交換サイクルを延ばせるケースもあり、トータルコストの削減につながる可能性があります。

一方で、使用頻度が少ない状況や極端な温度差のある環境では、指定された交換時期より早めにオイル劣化が進むこともあるため、定期的な点検が必要です。

排出ガス処理装置を長持ちさせるコツ

排出ガス処理装置を長持ちさせるには、適切なオイル選びはもちろん、定期的な交換とメンテナンスが欠かせません。

DPFやEGRはススや堆積物にさらされやすいため、メーカーが推奨する走行距離や期間を目安にオイル交換を実施し、負担を軽減しましょう。こうした作業を怠ると、エンジン内部の汚れが燃費悪化や出力低下につながり、最終的には大きな修理費用が発生するリスクも高まります。

交換時期と正しいメンテナンス方法

エンジンオイルの交換時期を守ることは、エンジン性能維持や事故防止において大切です。

ディーゼルエンジンオイルの交換時期は、使用環境やエンジンの設計によって多少変わりますが、商用車などでは3万kmから5万km程度の長いインターバルに対応する製品もあります。

とはいえ、荷物の積載量が多い場合や頻繁なストップ&ゴーを繰り返す状況では早めの交換が望ましいことがあります。運行記録やオイルの状態をチェックし、適切なタイミングで整備士がメンテナンスを行うことで、エンジン故障や燃費の悪化を防止できます。

交換インターバルの目安と廃油処理の注意点

メーカーが推奨する交換インターバルは一つの基準ですが、運転環境や走行距離によって最適な時期は前後します。オイルが黒ずんだり粘度が変化していると感じたら、早めに交換を検討するのが良いでしょう。

また、廃油処理は環境負荷を減らすためにも正規のルートで行う必要があります。ガソリンスタンドや販売店、自治体の回収ルールを守りつつ、適切に廃油を処理することが社会的責任にもつながります。

ディーゼルエンジンオイルの交換頻度

定期的な交換は燃費やエンジン寿命に大きく影響します。ディーゼルエンジンは高圧縮比で駆動するため、オイルも相応の負荷を受けています。交換頻度を守らないと、内部のスラッジが増加して各部品の摩耗が進行しやすくなり、最終的にはエンジントラブルのリスクが高まります。

商用車などは走行距離が長くなるため、定期的なチェックとこまめなオイル交換がコストパフォーマンス向上につながります。

ディーゼルエンジンオイルの交換費用

安価なオイルを選んでも交換サイクルが短くなるとトータル費用が高くつくケースもあるため、最適な規格と品質を有したオイルを選ぶことがポイントです。

長期的な観点で見れば、高品質なオイルを使って適切な交換を続けるほうが、エンジン寿命や燃費性能の維持に貢献するため、むしろコストダウンにつながることも多いです。

エンジンオイル用の添加剤を使用するメリット

エンジンオイル添加剤の使用はエンジン保護や燃費改善に一定の効果が期待されます。

エンジンオイル添加剤は摩擦抵抗をさらに低減したり、エンジン内部の汚れを分散しやすくする効果があります。特に、高負荷走行の多いディーゼルエンジンでは、オイル単体では補いきれない部分を補強できる可能性があります。

ただし、添加剤を使用する場合はエンジンやオイルとの相性を考慮することが不可欠で、メーカーが想定していない製品を使うと逆効果になる場合もあるため注意が必要です。

BGのエンジンオイル添加剤・強化剤が最強

ディーゼルエンジンの性能と寿命を最大限に引き出すための強力な味方、「DOC エンジンオイル添加剤・強化剤」をご紹介いたします。

「DOC エンジンオイル添加剤・強化剤」は、エンジン内部の摩擦を極限まで減少させ、エンジンノイズを大幅に低減します。さらにエンジンオイルの酸化や固まりを防ぎ、エンジン内部の構成部品を最適な状態に保つことができます。

ゆっくりと時間をかけて洗浄する効果により、エンジン内部に溜まったカーボンやスラッジを溶解し、エンジンの清浄性を保つことも可能です。TFOUT(薄膜酸化安定試験)およびASTM D4742テストにおいても、アメリカ大手メーカーのSL級オイルよりも200%以上の酸化性能を示していることも強みでしょう。

対応規格としては、DL-1、DH-2に対応しています。

ディーゼルエンジン向けのエンジンオイル添加剤はこちら

使用がおすすめな車両

以下のような車両ユーザーに使用するのがおすすめです。

  • ディーゼルエンジンのノイズが気になる
  • エンジンのパワー不足を感じている
  • エンジンを長持ちさせたい
  • エンジン内部の汚れが気になる
  • エンジンオイルの性能を維持したい

使用方法

946mlの商品の場合は、エンジンオイル12〜15リットルに対して、946mlボトルを1本添加します。

オイル交換時またはオイル交換の間に、クランクケースに加えて、オイルレベルをフルマークにしましょう。注意点としては、オーバーフィル(入れすぎ)には注意が必要です。また、過度のスラッジが発生しているエンジンでも注意が必要です。

最適なDH-2エンジンオイルを選ぶことが重要

DH-2エンジンオイルを正しく選び、適切にメンテナンスすることで、ディーゼルエンジンの長寿命と高い性能を維持できます。

ディーゼルエンジンは排出ガス規制の影響を大きく受ける時代ですが、高品質なDH-2オイルを使うことでエンジン内部の保護と排出ガス処理装置の延命を両立できます。粘度や交換インターバル、エンジンオイル添加剤の活用など、ポイントを押さえておけば、燃費の向上や故障リスクの低減につながり、結果的に維持費の削減にも寄与するでしょう。

車両メーカーの推奨規格をふまえつつ、適切なメンテナンスを続けていけば、ディーゼルエンジンのポテンシャルを最大限に引き出すことができます。

ディーゼルエンジン向けのエンジンオイル添加剤はこちら

ブログに戻る