車を整備するときには、ガソリン車だけではなくディーゼル車をメンテナンスすることも多いでしょう。ご存知の通り、ディーゼル車は、ガソリン車とは異なる特徴や規格を持ち、エンジンオイルの交換時期も異なります。
ディーゼルエンジンは汚れやすいため、エンジンオイル添加剤を使うことでより長く質の良い状態を保ち、快適な走りを維持できるためエンジンオイル添加剤の使用もおすすめです。
本記事では、ディーゼルのエンジンオイルの規格や種類について、またエンジンオイル添加剤を使うメリットを詳しく解説します。

著者紹介
全米シェアNo.1の自動車用品(添加剤・洗浄剤)を扱うBG Japanの「ケミカル副社長」です。
BG Japanでは、自動車(ガソリン・ディーゼル)に使われている様々な潤滑油や洗浄剤を販売しています。BGでは、最新・最先端の技術で製品を作っており、科学に基づいた製品を使うことにより、車両をより良い状態で維持できます。
今回の記事では、ディーゼルエンジンにはエンジンオイル添加剤が必要なのかについて紹介します。また、おすすめのディーゼルオイル対応のエンジンオイル添加剤・強化剤も紹介しますので、整備士の方はぜひ参考にされてください。
ガソリン車用エンジンオイルとの違い

エンジンの構造や燃焼方式が異なるため、ガソリン車とディーゼル車のエンジンオイルは種類が異なります。ご存知の通り、ガソリンエンジン用のエンジンオイルには、摩擦を抑えるモリブデンが多く含まれています。
ディーゼル車用のオイルは、燃焼時に燃料である軽油に含まれる硫黄分が発生する酸性物質を中和させるために、ガソリン車用のエンジンオイルよりもアルカリ性の添加剤が多く配合されているのが特徴です。
また、ディーゼルエンジン用のオイルの中には、DPFの目詰まりを防ぐために清浄分散剤を配合しているものもあります。
ディーゼルエンジンオイルの規格

ディーゼルエンジンはトルクが高く粘り強いため、低速からの加速力や重量物をけん引する力に優れており、バスやトラックに使われることも多いですが、ゴミである酸化化合物の発生も多くガソリン車用と同じエンジンオイルは使えません。
ディーゼル車のエンジンオイルの規格は、一般的にJASO(日本自動車技術会規格)規格とACEA(欧州自動車工業会(Association des Constructeurs Europeens d'Automobiles))規格、オイルの等級を分けるAPI規格などがあります。
JASO規格
JASO規格とは、日本自動車規格が制定する規格です。安全性を高め品質や性能の向上を目的として定められている規格で、メーカーが異なる部品であっても、規格を満たしていれば互換性があり修理や交換も可能です。
JASO規格のエンジンオイルの種類は、二輪車用、四輪用、ディーゼル用などです。JASO規格の場合、3段階の規格表示があり、ディーゼル車には「DL-1」、トラックやバスなどの大型車には「DH-2」が推奨されています。
また、不完全燃焼によるDPFに対応するため、硫黄や硫酸灰分を減らしたオイルが適しています。
ACEA規格
ACEA規格は、BMWやフォルクスワーゲンなど欧州の自動車メーカーとトヨタなどを含めた15社による欧州自動車工業会(Association des Constructeurs Europeens d'Automobiles)によって定められた規格です。
主にエンジン保護性能と耐久性を重視しており、欧州の厳しい走行環境および、高温での走行を考慮したエンジンオイルの規格で、ガソリンエンジン用(A規格)、乗用ディーゼル用(B規格)、DPF付きディーゼルエンジン用(C規格)、大型ディーゼル用(E規格)に分かれています。
現在は、A規格とB規格は統合され、「A1/B1」といった表記です。
API規格
API規格はアメリカ石油協会などが定めるルールのひとつで、エンジンオイルだけではなく、石油全般にそれぞれルールがあります。
API規格は、ディーゼルエンジンオイルはCから始まり、2サイクルディーゼルエンジンを含むと14段階で表示されます。API規格の表示に関しては、後に詳しく紹介します。
ILSAC規格
日米の自動車工業会(AAM・JAMA)で構成された組織によって定められているILSAC規格は、ガソリンエンジン用のオイル規格ですが今回は参考として紹介します。エンジンの環境負荷低減と小型高出力化を目的とした規格で、「GF」のアルファベットと数字の組み合わせでオイルのグレードが分かれています。(例:SP/GF-5 )
GFの後ろに記載されている数字が大きくなるほど性能が高くなっています。
2020年5月に新API規格の「SP規格」が施工され、新しい「SP規格」は、エンジンオイルに求められる性能条件をすべて満たした最高品質のエンジンオイルです。
ディーゼルエンジンオイルの種類

ディーゼルエンジンオイルの種類をAPI規格、JASO規格と特徴で見ていきましょう。ユーザーの方の多くは、「ディーゼルエンジンオイルは、種類がいろいろあり過ぎてどれを選んでいいのかわからない」と迷ってしまいます。
プロの整備士が、ディーゼルエンジンオイルの種類を的確に把握して、最適なオイルを提案してあげるべきでしょう。
小型の乗用車用ディーゼルエンジンは「DL」と記載し、トラックなどの大型車搭載のディーゼルエンジンは「DH」と記載します。その後に数字を付けてオイルの規格とグレードを示します。
DPFを装着したディーゼル車に推奨されるエンジンオイル規格は以下の通りです。
- ディーゼル乗用車 JASO規格「DL-1」
- ディーゼルトラック JASO規格「DH-2」
- 欧州ディーゼル車、日産エクストレイルなど ACEA規格「C3」
推奨されるエンジンオイルは、DPFの目詰まりを防止し、理想的な成分比率となるよう調整されています。(1)
エンジンオイルのベースオイルの種類

エンジンオイルのベースオイルは主に4つです。おさらいしましょう。
鉱物油
鉱物油は、原油から不純物を取り除いて精製したものです。API規格では、ベースオイルとして使用される鉱物油は「グループ1(G1)」のものが一般的で、G1をさらに精製した「グループ2(G2)」は、性能は高いですが高価になります。
グループ1のベースオイルは、コストパフォーマンスに優れていますが、酸化が早く揮発性が高い点がデメリットです。
全合成油
エンジンオイルのベースオイルが全合成油であるものです。鉱物油から不純物を化学分解して取り除き、再合成して分子レベルまで整えたものです。全合成油は、エンジン音の減少、エンジンの低温始動性に優れているうえ、高温時も安定しています。
また、エンジン保護性能も高く長距離運行にも適している性能の高いエンジンオイルです。精油する際に手間とコストがかかるため、価格は高めですが車の性能に合わせて選びやすいエンジンオイルといえるでしょう。
部分合成油
部分合成油は、鉱物油と高度水素分解油に化学合成油を混ぜたものを20%以上ブレンドしたベースオイルです。化学合成油を加えることで、鉱物油だけではカバーできない冬時期の低温始動性と高温時の揮発性を補えます。
基本性能が高いわりにコストパフォーマンスが良いため、毎日車を使う方などにおすすめです。環境対応オイルや省燃費対応オイルなど、ラインナップも幅広いので、車の性能に合わせて選びやすいエンジンオイルです。
化学合成油
人工的、化学的に化学合成油と高性能添加剤を合成したベースオイルです。高度な技術で精製されているため、不純物は原油から可能な限り取り除かれており、分子、粒子レベルまで整えられています。
酸化安定性があり、エンジン内部を強力に保護し、低温流動性にも優れていている最高品質のエンジンオイルです。高性能、高品質で、価格もそれなりに高いですが、高級車やレーシングカーなど車好きのユーザーには高い指示を受けるエンジンオイルです。
ディーゼルエンジンオイルの粘度規格
ディーゼルエンジンオイルを選ぶ際は、粘度規格も確認すべきなのは皆さんもご存知でしょう。
SAE粘度規格は、「○W-○○」の形式で表記されますが、ディーゼルエンジンはこのエンジンオイルの粘度も非常に大切です。低い粘度のオイルを使うと圧縮漏れするため、一般的にはディーゼル用エンジンオイルは「10W-30」や「15W-40」などを使用します。
ディーゼルエンジンオイルの交換時期や値段

ディーゼルエンジンオイルの交換時期は、ガソリンエンジンよりも早く行うべきというのがは基本です。DPFの再生の際に、オイルダイリューションが避けられないからです。
ガソリン車のオイル交換の場合は、5000~10,000kmに1回または、半年~1年に1回が推奨されています。しかし、ディーゼル車は業務で使われることも多く、稼働は毎日、中長距離を走るような状況下の車も少なくありません。そのため、最低でも3〜4か月または、15,000~20,000kmに1度はオイル交換をしましょう。
ディーゼル用のエンジンオイルの値段は、さまざまな規格で分けられているように、種類によって幅があります。しかし、一般的には3,000円~8,000円程度が目安といえるでしょう。
ディーゼルエンジンにオイル添加剤を使うメリット

ディーゼルエンジンはその耐久性と燃費効率で知られていますが、過酷な環境下で長時間運転されることが多く、エンジン保護の観点ではガソリンエンジン以上にメンテナンスが重要です。そんな中で注目されているのが「エンジンオイル添加剤」です。
エンジン摩耗の低減【エンジン寿命の延長】
エンジンオイル添加剤の主な目的の一つが金属摩耗の抑制です。特にディーゼルエンジンは高い圧縮比で運転されるため、摩耗のリスクが大きくなります。
- 摩耗防止成分(例:ZDDPやモリブデン)が金属表面に薄い保護膜を形成
- エンジン内部のパーツ(ピストン、カムシャフト等)の寿命を延ばす
- 高負荷運転・長距離走行時に特に有効
カーボンやスラッジの抑制【内部の清浄効果】
ディーゼルエンジンではススやカーボン汚れが発生しやすく、これが蓄積するとオイル経路の詰まりや潤滑不良につながります。
- 分散剤・清浄剤がスラッジやデポジットの形成を抑制
- オイルフィルターの寿命も延び、メンテナンス回数を削減
- EGR(排気ガス再循環)搭載車では特に効果大
エンジン音の静音化【運転時の快適性向上】
オイル添加剤に含まれる摩擦調整剤や粘度調整剤により、エンジン音を抑える効果もあります。
- ピストンやバルブの動作が滑らかに
- 経年劣化による打音や振動が軽減
- 特にアイドリング時に静音性を体感できる
低温時の始動性改善【寒冷地での強い味方】
冬季や寒冷地ではエンジンオイルが固まりやすく、始動時に負荷がかかります。エンジンオイル添加剤にはこの問題を軽減する成分が含まれていることがあります。
- 低温流動性を高め、スムーズな始動をサポート
- エンジンにかかる初期負荷を軽減
- バッテリー寿命延長にも寄与
ガソリン車以上に高負荷・高温・高圧で運転されるディーゼルエンジンには、エンジンオイル添加剤の恩恵が非常に大きいです。摩耗やスラッジ、始動不良などの悩みを未然に防ぎ、長寿命かつ快適なカーライフを実現するための一手として、信頼できるエンジンオイル添加剤の導入がおすすめです。
ディーゼル用エンジンオイル添加剤のおすすめは「BG112 DOC」

ディーゼル用エンジンオイル添加剤を選ぶなら、BG112 DOCがおすすめです。BG112 DOCは、ディーゼルエンジン専用に開発された高性能のエンジンオイル添加剤・強化剤です。過酷な条件下で使用しているエンジンでも、エンジンオイルの酸化及び固まりを防ぎ、使用しているエンジンオイルの性能を維持します。
また、エンジンを保護しながらエンジンの最適なパフォーマンスを引き出す点も大きな特徴です。摩擦抵抗を極限まで低減し、エンジンを静かに、そしてパワフルに保ち、ディーゼルエンジンの性能を最大限に引き出してくれるのがBG112 DOCです。
BG112 DOCの効果
BG112 DOCには、次のような効果があります。
- エンジン内部の保護
- エンジンパフォーマンスの回復と維持
- 静寂化
- スラッジの発生等の防止および保護
- エンジン内の酸化・凝固防止および保護
- エンジン内の摩擦・摩耗防止および保護
- ゆっくり洗浄効果
BG DOCはピストンリング、バルブ、その他エンジン内部の構成部品を最適な状態に保ち、金属磨耗を極限まで低減し、エンジン音を静かにします。また、シリンダー内の異常高温を防止、エンジンオイルの酸化及び固まりを防ぎます。
エンジン内部の構成部品を最適な状態に保つため、圧縮力を増しエンジンパワー・レスポンスを最大限に引き出します。さらに、超ゆっくり洗浄効果で、エンジン内部に溜まったカーボン・スラッジ等も溶解していきます。
DOCは、TFOUT(薄膜酸化安定試験)・ASTM(米国材料試験協会)のD4742テストで、アメリカ大手メーカーのSL級オイルよりも200%以上の酸化性能を上回る結果を出したディーゼルエンジン専用の最強のエンジンオイル添加剤・強化剤です。
BG112 DOCの使い方
BG112 DOC(946ml)を使う場合は、エンジンオイル12〜15リットルに対して、946mlボトルを1本添加しましょう。
オイル交換時またはオイル交換の間に、クランクケースに加えてオイルレベルをフルマークにしてください。効き目が高いので、入れすぎには注意してください。
ディーゼルエンジンはエンジンオイル添加剤を活用するのがおすすめ

ディーゼル車は、ガソリン車とは構造や燃焼方式が異なるため、快適に車を使用するためには、エンジンオイルはガソリン車よりも短い期間での交換が必要です。
また、不完全燃焼しやすい傾向があり、メンテナンスが不十分であるとスラッジが溜まり、エンジンの性能自体が落ちてしまうため、プロの整備士がしっかりとエンジンやエンジンオイルの状態を管理するのが理想的です。
ディーゼル専用のエンジンオイルには、さまざまな規格がありますが、適切なものをユーザーにアドバイスし、さらにエンジンオイル添加剤・強化剤も使ってメンテナンスをするとよいでしょう。エンジンオイル添加剤を使うことで、より良いエンジンの状態を持続することが可能です。
BG112 DOCなら、エンジン内部の汚れを取り除きエンジンオイルの性能を維持してエンジンを長持ちさせてくれます。まだ使ったことがない方は、ぜひ試してみてください。